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2014年3月2日日曜日

メタルレジスタンス第1章、完結。 - BABYMETAL@日本武道館「黒い夜」



日本武道館2日目、『黒い夜 LEGEND"DOOMSDAY"~召喚の儀~』。昨日のライブ後、やはりYUIMETALとMOAMETALの状態が気になって仕方なかった。

2人ともライブ中はアドレナリンが放出されているだろうから、痛みを感じなかったのかも知れない。なんせあれほどの高さから落ちたのだから、と不安に思っていた事が杞憂に終わった。




昼頃にアップされた公式Twitterの写真は、いつも写真ではSU-METALがセンターだが珍しくYUIMETALがセンターにいた。今日のライブの成功を予感せずにはいられない。その通り、今日はコルセットなんて要らないのだ。昨日、1万人もの観客が首から外し、3人が空に向かって投げたコルセットがすべてを物語っていた。

会場に着く。今日は巨大な整形外科ではない。コルセットがないせいか本来のイメージ通りの日本武道館がそこにあり、相変わらずステージ中央に描かれた巨大魔法陣は異様な存在感を放っていた。
唯一、昨日との変化が見られた。YUIMETALが落下した場所以外にも、全ての花道の外側に柵が設けられていた。これでどれだけ走り回っても落っこちない。まるで公園の遊具のような対処の仕方にちょっぴり笑い、そして心から安心した。
昨日のライブとは打って変わり、完全に作り込まれた世界を堪能できる"DOOMSDAY(審判の日)"。
会場が真っ暗になると、またも地鳴りのような歓声に身体と心臓が揺さぶられる。オープニングムービーがはじまる。黒い雲の中に浮かび上がる"DOOMSDAY"の文字。

「それはメタルレジスタンスの終焉を告げる鐘の音が巨大魔法陣より鳴り響く"運命の時"。漆黒の闇に燃えるメタルの魂が紅の炎となって全てを焼き尽くす。」

映像の中で3体の棺桶が炎に包まれ、3人のシルエットが赤い煙の中で浮かび上がる。

「残された時間はあと……わずか……。」

執拗に終焉を予感させるナレーションは、一体どういう意味を持つのか。今日でBABYMETALの何かしらが終了する事を告げるナレーションに身悶える。一体何が終わるのか。そして何がはじまるのだろう?

生バンドの神々の演奏がはじまる。スクリーンに"BABYMETAL"の文字が浮かび上がるとともに『BABYMETAL DEATH』が鳴り出し、冒頭から昨日と違うセットリストでまた新たなライブの幕開けを予感させる。
イントロからBABYMETALの3人はステージ中央奥の階段の最上段から登場する。『スターウォーズ』のライトセーバーのような赤く光る棒を持った3人が階段でそれを頭上に掲げ、さっと降ろす。その際にYUIMETALの棒の光が一瞬消え、またすぐに点灯する。間違えて消したのだろうか。昨日に引き続き軽いアクシデントが発生するが、今回は微笑ましい。言ってしまったら、昨日の転落も設営の不備も当然だがYUIMETALのおっちょこちょいな性格ゆえの出来事でもあった。その姿が微笑ましく、昨日泣き叫んだことをすっかり忘れさせてくれる。
YUIMETALとMOAMETALが棒をスケバンのようにワイルドに肩にかけ、SU-METALは棒を前に差し出して先導するように掲げる。階段をゆっくり降りてくる3人のシルエットは頼もしく、転落・転倒の心配はもう要らない。点灯の心配だけでいい。"赤"い光と"黒"い闇が解け合い、『赤い夜』から『黒い夜』へ橋渡しされるようにたった2色の色彩が目に飛び込んでくる。巨大魔法陣の輪郭の部分がを赤く照らされ、全身を赤色が素早く駆け巡る。興奮しているのか、僕の身体のあらゆる部分に血が昇っていくのがよく分かる。

「SU-METAL DEATH!」「YUIMETAL DEATH!」「MOAMETAL DEATH!」

BABYMETALは赤い棒を手放し、光に頼ることなく漆黒の闇にその存在を輝かせる。こうして『黒い夜』がはじまる。

その後は『いいね!』、続いて昨日は披露しなかった『君とアニメが見たい(~Answer for Animation With You~)』。広いステージを縦横無尽に使い切るYUIMETAL&MOAMETALと、どっしりと中央でかまえて歌を聴かせるSU-METAL。

BABYMETALのライブ恒例のストーリームービーが始まり、"A-KIBA"の街で大好きなアニメ『幸せのぶどうマン』を観たYUIMETALとMOAMETALの物語が綴られる。2人は屋根の上に光るタマネギを見つけると、どこからともなく『4あわせの歌』が聴こえてくるというファンシーな内容。
「ホントのレゲエ見せてくれたら、ホントの"4あわせ"あげるよ。」
ぶどうマンから"4あわせのぶどう"を与えられると、2人はたちまちBLACK BABYMETALに変身するという。ちょっぴりついていけない内容で会場がファンからの笑いと戸惑いに満ち溢れたまま、『おねだり大作戦』がスタートする。

骨パーカーに身を包んだYUIMETALとMOAMETALがタオルを振り回し、手を合わせて「買って!買って!買って!買って!」「ちょーだい!ちょーだい!ちょーだい!ちょーだい!」とおねだりする。「結婚するならやっぱりパパー!」と笑顔で両腕を広げるYUIMETALの表情は顔文字のようで、\(^〇^)/でしかない。その瞬間、誰もが同じように\(^〇^)/になる。パパになってしまう。
「One for the money. Two for the money. Three for the money」に 続くのは、「Four for the song」ってことか。客席にいる"父兄"たちはそのまま『4の歌』の可愛さを目の当たりにする。
「よんよんっ!」と甲高い子どものような、というか子どもの声が聴こえる。その真逆とも言えるメタルサウンドが鳴り出すも、「よんよんっ!」という掛け声は止まらない。 客席ではキツネサインとはまた別に新たな手の形が生み出される。4本の指を突き出した手が一斉に上がり、「フォー!」の裏声がステージと客席の両方で響く。作詞・作曲はYUIMETAL&MOAMETALの2人によるBLACK BABYMETAL。14才の女の子2人に印税が振り分けられるのなら、このおねだり大作戦は大成功と言える。
YUIMETALは満面の笑みで歌う。昨日は「心配の4」だったが、今日は「幸せの4」でしかない。終盤は「いっくよー!!」とMOAMETALが煽り、4人のバックダンサーを従えながら東西南北すべての方向に目がけて2人が「よんよんっ!」と掛け声を連呼する。
ステージに戻りながら「よんよんっ!」を叫ぶパートになると度々立ち止まる姿が、まるで「もーいいかい?」「まあだだよ!」。『Catch me if you can』のかくれんぼに通じる、子どもの遊びが日本武道館で繰り広げられるように見えた。
これはもう、 たの4!\(^〇^)/うれ4!\(^〇^)/あまりの可愛さに顔文字を乱用してしまいそうになる。

ストーリームービーが再びはじまる。紅い月の下でSU-METALが両腕を広げ、紅い色の雨が降り注ぐイメージが映し出される。

「SU-METALは気づいていた。運命の時がすぐそこに迫っている事を。紅き月夜に雨は降り続いた。だが、止まない雨はない。絶望という名の十字架を背負った少女は、心の中で歌うのであった。希望という名の光を求めて……。」

ナレーションが終わると、昨年6月の『LEGEND"1999"』以来披露されるタイトル不明のSU-のソロ曲がはじまり、階段の上でマントを羽織ったSU-が現れる。「絶望さえも光になる」というサビのフレーズが印象的で、青く光るライトが先ほどまで真っ赤に染まるステージとの世界観を変える。「止まない雨はない」とはまさにその通りで、昨日絶望に打ちひしがれた武道館が希望に満ち溢れているのが何よりの証拠だ。間奏のギターソロからSU-METALは階段を降り、終盤は両手でマイクを握る。胸元で祈るような姿勢が美しく、思わず見とれてしまう。
先ほどまで「よんよんっ!」と叫んでいた会場が嘘のように静粛なムードに包まれる。そのまま『紅月-アカツキ-』で再び爆発し、昨日に続いて前奏の後のSU-METALの「紅月だーーーっ!!!」が響く。

火柱に囲まれるギターの神2人の超絶ギターソロに痺れる。演奏は止まることなく『Catch me if you can』へと続く。『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』はステージの一部分が浮かび上がり、そこに3人が身を寄せ合って踊る。その演出の効果もあって「キンキラリーン!」のジャンプはいまだかつて無い高さに。『ギミチョコ!!』の衝動的な客席は昨日からまた新たに更新され、2階席から眺められる暴動にも似たアリーナ席がとにかく楽しい。
そして『悪夢の輪舞曲』。目を見張る神々の超絶プレイのソロが終わり、真っ暗闇からステージに再び光が灯される。するとギターの神とベースの神がSU-METALを三角形で取り囲むように魔法陣のステージ配置され、神バンドのメンバー達が外側を向いたままSU-のいるステージの内周が360度回転を始める。SU-METALの立つ部分が浮かび上がり、そのフォーメーションはまるでSU-METALが3人の神々を召喚したかのように見える。
その後は「キ~ツ~ネ~♪キ~ツ~ネ~♪わ~た~し~は~メ~ギツネ~♪」と歌い出され、YUIMETALとMOAMETALが再びステージに舞い戻り、昨日以上の盛り上がりを見せる『メギツネ』が 。

熱狂が最高潮に達した頃、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のイントロが。この曲ってこんなに泣けるものだったか?昨日の転落と転倒とその2人の復活のせいか、SU-METALの立ち姿、YUIMETALとMOAMETALのクラウチングスタートだけでも泣けてくる。

これが本来の姿のBABYMETAL。落ちない。転ばない。止まらない。そんな三原則のスローガンを掲げるようなステージに胸が高鳴り、指は震え、唇はふるえる。瞳はうるみ、耳は鋭くなる。そして心にすっと入り込んでくる。身体の弱い部分から攻めてくる。SU-METALの叫び声とともにYUIMETALとMOAMETALが火柱の中を駆け抜け、それに倣ってアリーナ席では各所でウォール・オブ・デスが発生。何度味わっても"衝撃"という言葉でしか片付けられない光景に、今度は涙が出てくる。この2日間はBABYMETALにとって、それを観る者にとって、どれほどかけがえのない時間なんだろう。短いライブ時間が一秒ずつ愛おしく思えてくる。

「痛み、感じて、ずっと、ひとり、こころ、気づかないふり。もう、逃げない。イジメ、ダメ、ゼッタイ」

こんなに頼もしい掛け合いはない。昨日のアクシデントのせいか、3人のサムズアップがより一層劇的になる。その熱量は跳ね飛ばされる事なく、僕の全身に沁み渡る。すんなりと客席の熱気を生む。それが叫び声となり、BABYMETALの元に返っていく。この一連のムーブメントが“ライブ”。すなわち”生きる”こととのダブルミーニング。この体験は今、日本武道館で伝説を目撃している者だけのご褒美として受け取りたい。

「We are!!!」 「BABYMETAL!!!」「We are!!!」 「BABYMETAL!!!」「We are!!!」 「BABYMETAL!!!」

何度も何度もコールを続ける3人。「スリー、ツー、ワンッ!」で演奏が鳴り止む。「See You!!!」 たった一言を残し、3人を暗闇が包み込む。
かっこよすぎる。
以上、ほとんど昨日のライブレポートの終盤のコピペ。言わば同じ出来事であるが、ここからの展開はコピペできない。今日はアンコールがあり、タイトルの通り"召喚の儀"が行われるのだ。

鳴り止まないアンコールの中、ストーリームービーが始まる。"DOOMSDAY"の文字が"召喚"に変わり、神々とキツネ様の身体が炎に包まれているイメージが映し出される。

「紅の炎が全てを焼き尽くし、漆黒の闇にこの地が包まれる夜、ついに運命の時が訪れる。メタルレジスンタスの終焉に向けて……。」

今日、BABYMETALの何かが終わるのだろうか。繰り返される"終焉"という言葉が気になって仕方がない。

「新たなステージへと旅立ち日の朝。小さな鈴の音が大きな鐘の音へと変わっていくように、巨大魔法陣の元へとBABYMETALは召喚されるのだ。」

キツネ様と魔法陣が描かれる。「キツネ様は言った。"終わりがあるから、始まりはあるのだ"。」それは何を意味するのか。
「そしてメタルレジスタンスの終焉を告げ、新たな伝説の幕開けを告げる鐘の音が巨大魔法陣より鳴り響くのである。」
銅鑼のイメージが映し出されると、ここで新たに登場するのはキツネ様の母・ゴッドマザー。
「あの銅鑼を鳴らすのは、あなた。」
そっちのゴッドかよ!

終焉を予感させるシリアスな雰囲気から打って変わり、笑いと拍手に包まれる。そんな中で「リンッリンッリンッ!おはようWake Up♪」と楽しげに音が鳴り出すのだから、まだまだ楽しい時間は続くようだ。会場全体が手拍子で迎え、『ド・キ・ド・キ☆モーニング』へ。終盤、3人がいきなり倒れる振り付けに大きな歓声が。心臓が止まるようなハプニングも心配で仕方ない夜も、昨日ですべてお終い。今は楽しむ事だけを目的に、BABYMETALは最後の曲『ヘドバンギャー!!』をはじめる。
「ヘドバン!ヘドバン!ヘドバン!ヘドバン!」
YUIMETALが周囲を見渡しながら花道を歩いていても、今日は心配することはない。なんといっても柵があるのだ。安全対策か靴ひもを結ぶ瞬間があり、ここはさすが"由結"。いや、YUIMETAL。安全第一のパフォーマンスに安堵し、今日は気兼ねなく全力で「ヘドバン!ヘドバン!」と叫べる。昨日と違って3人がちゃんと揃ってステージ中央に集まる。「泣き虫なヤツはここから消えろ!」も後ろめたさなく声を合わせられる嬉しさよ。
両腕と両脚を広げてハイジャンプするYUIMETALとMOAMETALの姿がまた観れてよかった。昨日のアクシデントはすべてキツネ様に見守られたのでは、と思ってしまう。熱量に満ち溢れたステージに奇跡は見放さず、裏切らない。2人にケガがなくて本当によかった。

曲が終わり、巨大な魔法陣の前方でそれぞれの箇所に倒れ込む3人。その後ろのくぼんだステージの中央には、銅鑼がせり上がってくる。ふたたび這いずるように銅鑼の元へ3人が動き、やがて3人を囲む部分のみが地上からどんどん昇っていく。よろめきながらも銅鑼のばちに支えられながら、最後の力を振り絞るように起き上がったSU-METALが銅鑼の音をダァアアアアアン!!!と鳴らし、気絶したかのように倒れ込む。
これぞBABYMETALのステージ。『赤い夜』に続いて『黒い夜』が壮絶に終わった。と思いきや……SU-METALが倒れ込んだ直後に真っ暗闇になった会場で、中央のモニターだけがまだ煌々と光る。

「今から……メタルレジスタンスの全てを話そう……。」

ナレーションとともに、BABYMETALの結成から当日までの活動の歴史が紙芝居で振り返られる。この日までのライブで映し出された映像や紙芝居の集大成が流れ、1つの終焉がすぐそこにある予感がますます膨らむ。

「この地は巨大勢力"アイドル"の圧倒的な魔力によって、メディア、政治、経済など全てが支配された世界。アイドルソング以外は全て有害と見なされ、メタルも例外ではなかった。メタルの復権を願った使徒の祈りがメタルを司る神・キツネ様のもとへと届き、キツネ様はSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの3人を"アイドルとメタルの融合"をテーマにした新しいメタルの誕生を意味するBABYMETALと名付け、この地へと降臨させた。」

「ホントのメタルを手に入れるため、キツネ様はBABYMETALに数々の試練を与えた。」
BABYMETALそのものの生い立ちと、その活動の軌跡が映し出される。僕の知らない時代の『LEGEND"I"』や『LEGEND"D"』、初めて観た『LEGEND"Z"』から『五月革命』『LEGEND"1999"』、サマーソニックとラウドパーク、そして昨年末の『LEGEND"1997"』と現在まで、これまでに紙芝居ムービーで映し出されたアートワークが一挙に振り返られる。
たった数年の出来事なのに、何十年もの歴史に感じさせる映像。それがBGMも相俟って感動的で、思わず涙で映像が滲んで見える。

「全ては未知の世界であった。ホントのメタルを知らない少女達は己の力を信じて、ただ立ち向かって行くしか術はなかったのだ。だが、幼いながらも道無き道を突き進み、与えられた数々の試練を次々と伝説へと変えていく姿に、人々は心を打たれるのであった。」

BABYMETALが描くのはフィクションであるが、未知な世界へ飛び込んでいったというのは事実であり、極めてリアルなノンフィクションでもあった。もちろん、昨日の出来事もその一つだ。

「時計の針は動き始めた。メタルの魂はこの地に新たな息吹をもたらし、メディアを席巻する国民的マエストロや、遂には巨大勢力アイドルまでもがメタルレジスタンスの象徴であるキツネサインを掲げるのであった。」

先月の2月7日に初出演となった『Mステ』のワンシーンを思い起こす。あの国民的アイドル・AKB48が一斉にキツネサインを掲げ、司会のタモリまでもがCMに入る時にキツネサインを顔の前で作る。その場にいる全員がメタルレジスタンスの一員になった。恐らく、BABYMETALに関わる多くの人が、あらかじめ決められたシナリオのようにここまで"メタルレジスタンス"が見事に成功していくとは夢にも思っていなかったのだろう。
サマーソニックでのメタルマスター・メタリカのメンバーとの出会い、iTunes USAのHEAVY METALチャートで1位を獲得し、その他多くの国のメタルチャートを席巻していくノンフィクションは、フィクションのストーリームービーより壮大なスケールでドラマチックになりつつある。
現実が、物語を逆転してしまいそうなのだ。
"BABYMETAL"という他に類を見ないエンターテイメントがもたらした奇跡が今とても、胸にズシンと響き渡る。

「メタルの魂は紅の炎となり、漆黒の闇を一瞬のうちに白夜へと変え、沈まぬ太陽のように鮮紅な光を放ち続けるのであった。」

漆黒の闇が明けて、閃光を放つ。やがて映画のエンドロールのように、ナレーションとともにテロップが下から上へと流れていく。

「キツネ様はBABYMETALに告げる。この地でメタルレジスンタンス第1章は完結した。そして新たな狼煙を上げるため、この地を離れ、新天地へと召喚するのだ。時は来た。いざ進まん、異国の地へと。」

異国の地!?と驚きの歓声が地鳴りのように響き、「召喚」のテロップでロールが止まる。ここから"召喚の儀"の全貌が明かされる。
壮大なオーケストラの音楽とともに、日本武道館の天井からワイヤーで吊るされた棺桶が3体、ステージへとゆっくり降りてくる。

「"DOOMSDAY"time has come......」

ここからナレーションはすべて英語になる。『スターウォーズ』のパドメ・アミダラに似た衣装に身を包んだ3人が棺桶に近づき、その前で正面を向いて立ち止まる。それぞれの顔がモニターに映し出され、英語で名前が告げられる。

「Screaming&Dance......MOAMETAL」「Screaming&Dance......YUIMETAL」「and Vocal&Dance......SU-METAL」

3人はトライアングルに位置された棺桶にそれぞれ順番に入り、その棺桶はゆっくり空へと昇っていく。まさに"召喚の儀"。これは紛れもなく"儀式"。
オーケストラのBGMが大きく鳴り響き、ますます感情が高ぶる。身体は微動だにできない。厳粛なムードの中で、昨日に引き続き“地蔵”と化す。棺桶の中に姿を消し、地上から離れていくBABYMETALの行き先を静かに見守るしかない。

「BABYMETAL......say good bye......」

ええっ、えっ、えっ、どういう事……? サヨナラなのか? 会場にどよめきが走る、次の瞬間…。

「to......Japan......Japan......Japan......Japan......」

えっ、日本から?!

映し出されるのは、"BABYMETAL JAPAN"の文字。「Japan……」が何度も繰り返し連呼され、最後のストーリームービーが流れる。

「それは新たなメタルレジスタンスの幕開けを告げる鐘の音が、巨大魔法陣より鳴り響く運命の時。BABYMETALはこの地でのメタルを完結し、異国の地へ武者修行の旅に出た。新たなメタルの使命に向けて。」

異国の地って? えっ、一体どういうこと?
戸惑っている暇もなく、次回のライブの告知がはじまる。

「まばゆい光に包まれた舞踊の天使が降臨するとき、新たな伝説が誕生するのだ。」「あたたかい光に突くれた愛の天使が降臨するとき、新たな伝説が誕生するのだ。」

『LEGEND"Y" YUIMETAL聖誕祭』と『LEGEND"M" MOAMETAL聖誕祭』の開催を告げる文字。それを見た瞬間から行く決意は固まる。が、世界地図が日本を映したその直後、その位置は西へと大きく移動する。

"EUROPE"

えっ。えええっ!!!?

『LEGEND"Y" YUIMETAL聖誕祭 & LEGEND"M" MOAMETAL聖誕祭 in EUROPE』

ええええええええっ!!!!?

最後に映し出される、"BABYMETAL"の文字のドヤ感。「さあ、お前らはどうする?」と煽られているかのように、会場は騒然となる。
こうして、日本武道館の2日間は劇的に終わった。

『赤い夜』と『黒い夜』。どちらの夜も全く正反対のアプローチで衝撃を受けた。"終焉"とはメタルレジスタンス第1章の完結のことで、第2章の始まりを意味していた。彼女たちがこの地=日本にもたらしたものを十分堪能したが、これから始まるBABYMETALの試練は会場にいる人々の試練でもある。「ヨーロッパ……マジか……どうしよう」「行くか……でも……」「ああ......」と、新境地へ向かうBABYMETALがあまりに遠すぎて、周囲の人々も溜め息まじりの言葉で返してしまう。

どうして今、BABYMETALが熱いのか。徹底した世界観とそれを表現するクオリティ。Jポップとメタルが上手い具合に融合し、シリアスな物語とオマージュの連続で振り幅を味わえる。かわいい・かっこいい・おもしろいの衣食住にも似たエンターテイメントの重要な要素を全部兼ね揃えている。
昨日のようにフィクションの殻を突き破り、ノンフィクションで感動を与える。いくら物語とはいえ、そこで歌い踊るのは生身の14才と16才の女の子たち。その殻にヒビが入った時、観る者の心を突く。そして物語を超えた現実を目の当たりにするのだ。

BABYMETALのライブに欠かせない紙芝居ムービーは元々、苦肉の策から生まれたものであると雑誌『MARQUEE』でKOBAMETALが答えている。MCのない3人の休憩する時間として設けられた時間だったが、偶然にも現実に作用していく。つまり、本当の意味のLEGEND"伝説"を映像の中と地続きで作り上げてしまう。そして今、巨大勢力"アイドル"がキツネサインを掲げ、メタルレジスタンスが世界中の注目を浴びつつある。

空想でしかなかったはずの物語がこの先、どのような展開を迎えるのだろうか。
もはやヨーロッパ公演だけに留まるはずがない。SU-METALの聖誕祭の開催地を今から妄想する。やがて、それは妄想だけに済まされないだろう。
それにしても、繰り返される濃厚なX JAPANのオマージュの連続。もはや執拗と言うべきか、『赤い夜』『黒い夜』というタイトル、そこで配られたコルセット、SU-METALの「紅月だーーーっ!!!」、鳴らされる銅鑼。 これは1994年12月30日と31日に行われたX JAPANの『青い夜』『白い夜』、YOSHIKIのコルセット、TOSHIの「紅だーーー っ!!!」、そこで叩かれる銅鑼をすべてなぞっている。
YUIMETALの転落はその時のYOSHIKIのステージ転落事故に偶然にも繋がってしまう。挙げ句の果てに、最後の"BABYMETAL JAPAN"の文字。 今後、世界中に完全に認知されるまで抜かりないオマージュが続いていくのだろう。

いずれ、1997年12月31日の『最後の夜』がBABYMETALにやって来るだろうか。その舞台はやはり、東京ドームなのだろうか。

唯一足りないのは、YUIMETALとMOAMETALがまだカレーが辛すぎて帰らないってくらいか。
もしそれすらオマージュされるのなら、「あちゃ!ちゃ!カリー」(さくら学院クッキング部・ミニパティより)って言ってください。




2014年3月2日 BABYMETAL「黒い夜 LEGEND"DOOMSDAY" ~召喚の儀~」@日本武道館

01. BABYMETAL DEATH
02. いいね!
03. 君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You
-紙芝居-
04. おねだり大作戦
05. 4の歌
-紙芝居-
06. NO RAIN NO RAINBOW
07. 紅月 -アカツキ-
08. Catch me if you can
09. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
10. ギミチョコ!!
11. 悪夢の輪舞曲
12. メギツネ
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ
<アンコール>
14. ド・キ・ド・キ☆モーニング
15. ヘドバンギャー!!
-召喚の儀-


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