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2013年6月30日日曜日

この世に生まれてきてくれてありがとう。 - BABYMETAL『LEGEND"1999" YUIMETAL&MOAMETAL 聖誕祭』2013.6.30 at NHKホール

(BABYMETALオフィシャルTwitterより)


ただごとじゃない。何かが始まる予感しかしない。それを目撃できた喜びに浸ってしまう。今日のBABYMETALのワンマンライブはまさにそんな場所だった。

いわゆる聖誕祭=生誕祭というものに今までに行ったことがない。
何をするの?「ハッピーバースデイートゥーユ~♪」の合唱でもするの?で、「ありがとう~」って返されてほんのりと笑顔になるの?今回はスタンド席が一つも用意されず、すべてシート席なのでまったりとしたライブを予想していた。が、それは裏切られた。合唱する油断は一切許されず、イスがあることを忘れるくらい身体が動かされた。
そして聖誕祭だけあってYUIMETALとMOAMETALの何か特別なステージが用意されているのでは、という期待感を背負っていたが、それは正解だったようだ。

6月20日で14歳になったYUIMETAL、7月4日で14歳になるMOAMETALが今日の主人公。渋谷のNHKホール付近は彼女たちの年齢より何倍も生きているお父さんとお母さん、いわゆる父兄たちで賑わっていた。
近頃はTwitterでBABYMETALのことを呟くとファンの人がフォローしてくれて、その方々のツイートを辿るとどんどんさくら学院に詳しくなる。「父兄」とはさくら学院のファンの総称であることを知った。それは年齢的にBABYMETALのライブ会場にもまったく当てはまる。彼らは皆Tシャツで"BABYMETAL"の文字を背負い、日曜日の夕暮れ空以上に漆黒と紅に染めている。僕もその中の一人。14歳の少女の聖誕を心から祝う、数多き父兄の中の一人だ。
ただ、父兄とはいってもさくら学院のライブに行くのは躊躇している。アイドルのライブに慣れていない身分として、どのような気持ちで挑めばいいか分からない。さすがに15歳未満のメンバーが学生服を着ているステージに視線を向けるなんて、自分にとってまだハードルが高い。BABYMETALはバンドのライブに行く感覚に近いため、自分としては楽なんだろうと再確認する。
6月21日の深夜、日本テレビ『ミュージックドラゴン』にBABYMETALが出演した。
彼女たちの魅力に気づいてからリアルタイムで出演番組を観るのは初めてなので、普段露出が少ないからこそ貴重に思えた。さらにタカandトシ相手にトークだけでなく、『だるまさんの一日』というゲームをするというレア感。ライブだけではMCがなくパーソナルな部分が掴めないが、フリートークでそれぞれのキャラクターをほんの少し把握することができた。
この番組では特にYUIMETALの力のない「いぇい……」という声が僕の心を鷲掴みにした。

NHKホールに入る。なんとYUI&MOAにケーキを渡す人物の顔面を切り抜いた、いわゆる"顔はめパネル"が立ちはだかっている。これは試されている。僕は一人だ。一人だとたとえ顔をはめたとしても撮影する人がいない。ただ顔をはめるだけなんて風景として残酷だ。究極の選択を強いられる。顔をはめるか否か。生きるか死ぬか。いつだってDEATHと隣り合わせのBABYMETALの世界観をここで体験する。結果、歯を食いしばりながらチケットを握り締め、名残惜しそうに客席に向かった。


(BABYMETALオフィシャルTwitterより)


僕にはライブに誘える友人がいない。付き合ってくれる友人はいるだろうが、その友人の気分を気遣う余裕がない。一人のほうが楽なのを知っている。たとえば隣の人の顔色を伺ったり、帰り道の互いの温度差を心配する必要もない。今までライブを観に行く時はだいたい誰かと一緒だが、BABYMETALのライブは違う。その時に感じたことを一滴も零さずに持って帰り、それをネット上に書き記すことで知らない人に伝えたい。「BABYMETALはヤバいんだぞ」と。若干バカにされているから尚更その気持ちに溢れ、当然ながら一人であることに寂しさは一切感じない。

開演予定の18時から約15分間の遅れで、いよいよ本編がスタートする。先に言っておきたい。今日のライブは壮絶なものだった。
凝りに凝ったステージ演出と、相変わらず壮大なストーリー仕立ての構成。そこに爆竹、火柱、CO2バズーカの噴射、まさかのクリスタルピアノの登場。そして、1999年という世紀末に産み落とされた少女2人のそれぞれのソロステージ。なんとカバー。ゆえにウワー。主にハロプロ。心がウロウロ。と、リズム感を優先してボキャブラリーを奪い取る壮絶な時間に、14才少女2人の煌きに、為す術がない所存DEATH。

冒頭、NHKホールのステージの巨大垂れ幕に映し出される”1999 SECRET OBJECT”の文字。紙芝居ムービーは「世界は終わるのよ」という『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の最後のセリフからナレーションが始まる。

「時は世紀末、SECRET OBJECTを迎えようとしていた世界。メタル界に君臨する《地獄の皇太子》の魔力によって、聖なるものに飢えている悪魔がⅡ(ふたた)び蘇り、悪魔が来りてヘヴィメタるのであった」

ナレーションとともに、赤く燃え上がる地球の上に聖飢魔Ⅱのデーモン閣下が浮かび上がると歓声が上がる。

「予告通り、1999年(せいきまつ)の12月31日、世界は征服された。10万年と14年前から愛してるメタルの魂は時空を超え、新たなEL・DO・RA・DOを創造する」

地球の終焉を告げる終末的な背景にBABYMETALの写真が挿入され、「諸君、いよいよ『創世のメタリオン』の幕開けだ!」などと直球のパロディワードの連続で攻めてくる。そしてキツネ様のイラストが閃光を放ち、聖誕祭は『BABYMETAL DEATH』で壮大に幕を開ける。爆竹が鳴ると中二階で首を振る3人が現れ、その下の階で骸骨タイツ姿の者たちが十字架を高く掲げ、両サイドでBABYMETALのフラッグを振っている。そして骨バンドがエアーで演奏する。
SU-METALが咆哮し、YUIとMOAがステージ上をのたうち回るとシート席から身体が離れていく。指定席の二階前方のR5列目から思わず一階で転げ落ちそうな気分で、それを抑えるのに必死でいる。
1999年といえば、ノストラダムスの大予言でこの世は終わると思われていた。そんな不穏な時代にYUIMETALとMOAMETALはこの地に産み落とされた。
その後、レーザービームを多用した『いいね!』はSU-METALがコール&レスポンスを促し、掛け声が「えーぬえっちけーっ!」と可愛らしく響く。『君とアニメが見たい』では間奏で3人が輪になって回る姿が可愛らしすぎて、『ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト』でこのミッドナイト(18時くらいだけど)がまだまだ続いてほしいと願わずにいられない可愛さを目の当たりに。結論、全部可愛いってこと。それはもう分かっている。しかし、その後の予想だにしなかった展開に思わず目と耳を疑った。

『いいね!』のこの瞬間は素が見え隠れするのか、鋭い顔つきが一瞬にしてハムスターみたいな小動物に変身し、若干15才であることに気づかされる。瞬間的にONとOFFが切り替わる姿が結局かっこいいので、この人の場合の可愛いの成分の大半はかっこいいのかも知れない。

その後、なんとYUIMETALが一人でステージに!

スクリーンには再び1999年の世界が映し出される。そこには団子のタンゴ(明らかにだんご三兄弟のこと)、灰色の楽隊(明らかにGLAYのこと)が描かれ、その時代に「この世に舞踊の天使が舞い降りた」というナレーション。

「その天使とはYUIMETAL。キツネ様は言った。《由ありて結ばれる》と」

YUIMETALの幼少時代から現在までの写真のスライドショーが始まる。ここにいる誰もが似たような感覚を味わうだろうか、勝手に父親気分になって泣きそうになる。これが父兄か。ならばここは授業参観か。結局、BABYMETALの世界観に関係ない部分で涙腺を緩ませている僕はもう、今すぐにでもさくら学院のライブに行くべきか。

「来るべきメタルレジスタンスに備えYUIMETALは、シール集め(趣味のこと)をしたり、成長期限定の学校(さくら学院)に通ったりと、アイドル界におけるアンダーカバーを《ちょこっとずつ》遂行して行くのであった」

彼女の経緯を愛くるしく綴るナレーション。そのユーモアが感傷の涙を止めてくれる。YUIMETALには永遠にシール集めをしてほしいし、いつまでもそのままでいてほしい。いや、この発言はさすがに気持ち悪い。少女に永遠はないし、いつかシールを手放すときが来る。20代半ばでシール集めする女は危ない。だが、YUIMETALにいつか子どもができたときに「お母さんがあなたくらいの歳の頃に集めたシール、まだあったかしら」って押し入れからシールを取り出すような、そんな幸せを願っている。さて、いよいよ本格的に気持ち悪くなってきた。YUIMETALは両サイドに4人のバックダンサーを従えて現れる。この光景を前にし、すべての感傷と妄想が吹っ飛んだ。そしてBABYMETALのライブでは聞き覚えのない、とはいえ記憶に刷り込まれていたメロディが。合いの手が「ワッハハハハ!」と鳴り、これはひょっとして、ちょこっとして…。
「ほんのちょこっとなんだけど~♪」
プッチモニの『ちょこっとLOVE』のメタルアレンジじゃないか!まさかのカバーに動揺を隠しきれない。この愛くるしさ、もはやちょこっとどころではない!どばっとLOVE!YUIMETALが一人でステージに立つ姿、これだけでも感涙できる。「ですね、ですねですねですね」が「DEATHね、 DEATHねDEATHねDEATHね」と自動翻訳され、この偶然の一致か必然の一致だかに手を叩くバックの大人たちの笑顔を思い浮かべてしまう。凛々しく飛び跳ねるYUIMETALの一挙一動に目が離せない。「まる、まるまるまる」なんてその丸顔で言われるんだから、この答案に二重丸を書いて返したい。

BABYMETALを知ってから日が浅いが、一人でステージに立つ姿は観たことがない。大好きな大作映画の大好きなキャラクターのスピンオフ映画が突然完成したかのように、「主演!」って感じが妙に泣けてくる。成長期の彼女のスピードと同じように、この数ヶ月間でこちらの感情もぐんぐん成長していたようで、なぜか泣きそうになっている自分自身に驚く。

その次はMOAMETAL。またも紙芝居ムービーが始まり、世紀末の1999年の世界をナレーションで振り返る。

「人形の機械(明らかにファービーのこと)が人と話し、愛の機械(明らかにモーニング娘。の『LOVEマシーン』)が謳歌されていた頃、この世に微笑の天使が舞い降りた」

卵に羽根が生えた、愛くるしいイラストが描かれている。

「その天使とはMOAMETAL。キツネ様は言った。《最も愛を大切に》」

YUIMETAL同様、MOAMETALの幼少期から現在までの写真がスライドショーで見せられ、お猿の被り物をした姿や、着物を着た姿がスクリーンに映し出され、そのたびに歓声が上がる。それにしても成長期って顔つきを大幅に変え、ここまでたった数年を劇的に変化させるものなのか。改めて彼女たちの若さを実感し、自分との年齢差に若干途方に暮れる。
「アイドルちゃんのファンになってみたり、成長期限定の学校に通ったりと、《Dancin’ all of the night》で着々とアイドル界におけるアンダーカバーを遂行して行くのであった」
もう答えは出ている。MOAMETALはモーニング娘。の『LOVEマシーン』 のメタルアレンジ。またもハロプロのカバーで、かつて慣れ親しんだ曲だからか予習がなくても合いの手を入れる客席。盛り上がる会場がナレーションの時点ですでに目に見えていた。
サビで「日本の未来は」とMOAが歌うと、客席で「Wow Wow Wow Wow♪」。「世界が羨む」で「Yeah Yeah Yeah Yeah!」。完全に出来上がっている。客層は平均年齢が自分より少し上に見えたが、やはり耳に馴染んだメロディと歌詞なので突然繰り出されても全く問題がない。

プッチモニ『ちょこっとLOVE』もモーニング娘。『LOVEマシーン』も、1999年に発表された曲だ。14年の月日が経ったことを実感し、彼女たちの倍の年月を生きている自分の年齢を憂うには十分すぎる時間だった。
どちらも妙に泣かせるのは、自分が2人の年齢くらいの頃に発表された曲だからかだろうか。それとも、あの頃モーニング娘。をテレビでずっと追いかけていたからだろうか。メンバーのなっちの写真集を発売日の1日前にフライングゲットした記憶が蘇える。後藤真希が当時14才だったことに意味を感じてしまう。
そこで抱く感情は明らかに違う。モーニング娘。は当時同年代というのもあり、若干恋心に近いものを抱いていた。でも、BABYMETALは親心と呼ぶのがふさわしいのだろうか、もし自分に娘がいたらこんな気持ちになるかも知れない。見惚れるというより、見守る。14年前の感情が容赦なく14年分加齢しているのだ。

なるほど、聖誕祭とはこういうものか。と、両者の可愛さを見守るのも束の間、新たな紙芝居ムービーが物語を進めていく。

「むかしむかし、その昔。《E-DENの園》と呼ばれるメタルの楽園があった。天使なメタルと悪魔なメタルがジャンルの壁を越え、共存共栄する。メタル愛にあふれたパラダイス」

フライングVのギターが塔のように立ち、動物が屯ろする野原が描かれる。

「YUIMETALとMOAMETALがかくれんぼするのにはもってこいの《とっておきの場所》があった。その《とっておきの場所》とは、恐い鬼に見つかったら食べられちゃうぞ、と教えられていた《悪魔の森》。ある時、かくれんぼをしていると《悪魔の森》で道に迷ってしまったYUIMETALとMOAMETAL。お腹がぺっこぺこな二人は《りんごの木》を発見する」

エピソードからして可愛らしい2人の姿を想像するが、すべて明らかに架空のお話。

「しかし、それが悪魔(デーモン閣下がりんごを両手でぶら下げるイラスト)の罠による《禁断の果実》とは気づかずに食べてしまうのであった。すると、突然顔色が真っ白になり、《やっぱりメタルはブラックじゃね?》とBLACK BABYMETALに変身してしまうのであった…」

デーモン閣下のごとく顔面白塗りの2人のイラストに一瞬不安を覚えた。まさか白塗りで登場するのでは、という不安は杞憂に終わり、骨パーカー姿のYUIMETALとMOAMETAL(BLACK BABYMETAL)が登場し、『おねだり大作戦』を繰り出す。「わたし、パパのお嫁さんになるんだ」が生声で、思わず拳を握り締める。「買って!買って!買って!買って!」「ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!ちょうだい!」この二人なら永遠に言い続けられても許します。両手を合わせて空に突き上げるポーズで、お父さんにおねだりを繰り返す。その光景をおねだりするように、こちらも「ちょうだい!」とコール。この直接的なやり取りは、この日発売の新しいグッズTシャツ"BLACK BABYMETAL"でも表されている。後ろに「I LOVE(ハートマーク)PAPA」の字がプリントされているが、「PAPA」の部分が横線で消されて「MONEY」になっていて震え上がった。お父さん=お金だなんてよく分かってらっしゃる。子どもには敵いません。
SU-METAL不在のBLACK BABYMETALはかっこよさを抜き、可愛さを残したもの。天使というより小悪魔で、おねだりというかカツアゲに近い挑発的な態度がたまらない。Sがいなくなった分、会場にいる誰もがMになる準備が整ってしまう。
YUIMETALに気持ちが傾いていても、彼女が成り立つのはMOAMETALというパートナーがいるからこそ。まるで「人」という漢字を体現しているかのごとく、二人が一つになることで成立する。早い話、どちらも可愛いということだ。

「悪魔の森。そこは恐ろしい地獄への入り口。悪魔の森の番人は言った。《お前も蝋人形にしてやろうか!》魔力によってYUIMETALとMOAMETALは蝋人形へと姿を変え、ピクリとも動かなくなってしまった。二人は《蝋人形の館・マダムアッソー》へと連行され、歴代メタラーと共に展示されるのであった」

またも悪魔(デーモン閣下)の仕業で蝋人形にされる二人。スクリーンには、メタリカとジューダス・プリーストの隣にYUIMETALとMOAMETALが展示される様子が映し出される。

「SU-METALは思った。《わたしも蝋人形になりたいな》と。あやうく悪魔にだまされそうになるSU-METALだったが、二人の姿を見てここからの脱出を決心する。だが、一度楽園を出た者は二度と戻ることはできない。新たなEL・DO・RA・DOへ向けて、《メタルの方舟》は今ここから出発する」

ものすごくバカバカしいストーリーを壮大なナレーションに乗せる。蝋人形にされちまったよ。BABYMETAL、一体どうなっちまうんだ。SU-METAL、二人を早く助けてあげてくれ!

と、ここでなんと、まさかの途中休憩が。これから盛り上がる!という時に会場が突然明るくなり、休憩を告げるアナウンスが。戸惑いを隠しきれない客席はその約15分間後、 BABYMETALのライブには似つかわしくない美しいピアノの旋律に酔いしれることになる。

ライブで途中で休憩が入るなんて初めてだ。「世界は終わるのよ」というナレーションなど、つくづく『新世紀エヴァンゲリオン』のパロディが散りばめられているが、その劇場版『REVIVAL OF EVANGELION DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に』に途中休憩があったことを思い出す。まさかこれもそのパロディでは?と一瞬脳裏を過った。
客席は呆気にとられた様子で、トイレに向かう人の姿も。ただ、始まってそこまで時間が経っていないので、15分間はYUIMETALの可愛さを思い出す時間に費やした人も少なくはないだろう。(自分のことだ)

休憩が終わり、ライブの後編が始まる。紙芝居ムービーは大雨の水面を走る方舟が描かれ、ナレーションで語られる。

「その昔、神の怒りは強大な嵐となって大洪水を巻き起こし、この世の全てを洗い流した。だが、止まない雨はない。やがて嵐は過ぎ去り、クリスタルに輝くまばゆい光に導かれ、《メタルの方舟》はEL・DO・RA・DOへと辿り着く」

ステージに神バンドが登場し、歓声が上がる。

「《メタルの神々》、そして《紅の騎士》と《クリスタル》が奏でるハーモニーは失われた魂の鼓動を呼び起こすのであった」

SU-METALの透き通るような歌声とともに生バンドの演奏が始まる。後半は生演奏に切り替わるのだろうか。聴いたことのない物悲しいメロディのピアノの前奏とともに、ステージの中央に透明のピアノが現れる。新曲(曲名は『NO RAIN, NO RAINBOW』との噂)だろうか、SU-METALのソロ曲は洪水ですべてが流された世界のように、水色の照明で彩られる。
「絶望さえも光になる」
サビは印象的なフレーズで、「止めない雨」という言葉が耳に残る。メタルというよりJ-POP寄りで、一度聴いたら忘れられないメロディ。間奏で中二階に蝋人形になって身体が固まった様子のYUI&MOAが現れ、SU-の手によって再び命を取り戻す。二人はなぜか首にコルセットを装着した状態で、SU-に手を引かれて階段を降り、無邪気にピアノのもとへ向かう。

これはもうYOSHIKIって言っちゃっていいんだよね?二人並んでピアノの前にちょこんと座る姿が可愛らしく、そこから連弾(エアー演奏)を始める。分かりやすいくらいのX-JAPANのオマージュだが、YUIとMOAの横に並ぶ可愛さがYOSHIKIの影を薄くさせている。
その後、ステージ上でのかくれんぼ&鬼ごっこがスリリングな『Catch me if you can』、客席で振り付けを完コピしている人があまりにも多い『ド・キ・ド・キ☆モーニング』、発売されたばかりの新曲『メギツネ』、そして『イジメ、ダメ、ゼッタイ』と怒涛の生バンドの演奏とパフォーマンスが続く。
『メギツネ』の「ソレソレソレソレッ♪」の会場の一体感が凄まじく、スタンディングは存在しないのにモッシュピットに見えた。踊りに踊ってしまう。ここが聖誕祭、すなわち祭りであることを思い出す。やっぱり祭りは踊らなきゃ。。1つ目のサビ「あ~」のYUI&MOAの両手を広げる振り付けが可愛すぎて反則なのDEATH!
BABYMETALのライブを体験するのは3度目だけど、今回の『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のYUI&MOAのバトルシーンが最もかっこいい。MOAMETALの飛び蹴りがキマっていた。もちろんその動作だけでは成立せず、YUIMETALがそれを喰らっているかのような《受け》のパフォーマンスもまたキマっているからこそ、今回のバトルは火花が散っているように見えたのだろう。動じないSU-を中心にYUIとMOAが闘い合う。そのときの勇ましい表情よ。三人の構図、ダンスの発想、物語の展開にグイグイとハートを掴まれる。キツネ、どんだけ飛ばせてくれるねん!

「We are!」「BABYMETAL!」を繰り返し、「See You!」の一言を残して去ってゆく三人。
思い返せば、今回もやはりMCが一つもない。言葉をすべて紙芝居ムービーに委ね、鮮やかに姿を消す三人に観客は黙るはずがなく、鳴り止まないアンコールが。

紙芝居ムービーが始まり、高くそびえ立つ塔が映し出される。

「より高く、もっと高く、天に届くまで、そして神のもとへ向かうため、人々はさらなる高みを目指し、神への祈りを捧げるのであった。漆黒の闇に紅の月が浮かぶ頃、神の啓示を受け、遂に自らが神へと生まれ変わることを知り、SU-METALは己の中の葛藤と戦っていた」

SU-METALが紅い月のもとへ昇り、マイクスタンドを掲げているシルエットのイメージが。

「だが、運命の時は刻一刻と迫っている。天へと続く道はすでに開かれたのであった」

ステージに光が差す。SU-METALの姿が浮かび上がる。『紅月-アカツキ-』の演奏が始まるとステージの中二階に火柱が吹き上がり、それは二階席にもその熱が伝わってくるほど。SU-の歌唱力は素人耳でもよく分かる。彼女の安定した歌があるからこそ、YUIとMOAの存在感がまた映えるのだろう。
最後は『ヘドバンギャー!!』。ステージでは歌詞通りに黒髪を華麗に乱し、こちらも少なくなりつつある髪をハゲ散らかすように何度もヘドバンする。間奏でYUIとMOAがCO2バズーカを噴射し、まるでハゲを煙に巻いてくれるかのよう。どうもありがとうございます。
まるで朽ち果てるようにステージに倒れ込んだ3人。聖母像のイメージがステージ後方に映る中、『アヴェ・マリア』が流れ、儀式のごとく3人の魂を導くように黒装束の集団が火を灯しながら歩く。再び息を吹き返した三人は彷徨うように光輝く中二階に繋がる階段を昇り、まるで天国への階段を歩くように大量の煙に包まれたまま姿を消してしまう。いつもと違った演出に、客席では唖然とした様子で見つめるしかない。

3人が去る姿がいつもの「See You!」とは全く違う。天に召されるようにも、次なるステージに昇るようにも見える。この二つは全く同じ意味なのだろうか。BABYMETALは何度も死んでは生き返り、次の形へ生まれ変わっていくのだろう。

「聖なる母から新たな女神が誕生する」

黒い背景に赤い文字が浮かび上がり、次回ライブ『LEGEND”1997” SU-METAL聖誕祭』を告げる文字が。
12月21日、会場はなんと幕張メッセ!
そりゃあもう、光と煙に包まれるわけだ。手の届かない境地に向かうつもりか。この引っ張り方とさらなるステージに、感嘆の意を込めた拍手をせざるをえない。
BABYMETALのワンマンライブは一篇、いや二篇、それどころか何篇もの映画を観ているような感覚に陥る。世紀末を舞台に繰り広げれる壮絶なバトル。週末ヒロインもいれば終末ヒロインもいるってことだ。そしてメタル、アニメ、J-POPのパロディとオマージュ。壮大な遊び心が僕を刺激する。

今日のハイライトはYUIMETALのプッチモニ『ちょこっとLOVE』カバーと、MOAMETALのモーニング娘。『LOVEマシーン』カバー。
14才のちょこっとLOVEマシーン攻撃は、これらの曲が発表された1999年と現在を繋げる。"聖誕祭"って意味が深く感じられる。この2曲が発表された当時の衝撃は大きく、後のアイドル界に大きな爪痕を残したと思う。その14年後、この2曲が14才にそれぞれカバーされたことは、彼女たちの挑戦とも受け取れる。そしてメッセージにも感じた。今日、新たな物語の聖誕を告げた。あれ以来の衝撃を世界に与えるってことかも知れない。いや、あれ以上のLOVEをちょこっとどころでもなく、マシーンではなく生身で。その歌詞のように「恋という字を辞書で引き、あなたの名前をそこに足しておく」以前に、こちらの携帯は「かわいい」と打てば、「かっこいい」と打てば『BABYMETAL』と出るように辞書登録しているので準備万端だ。錯乱しているように思えるだろうか。でも、BABYMETALの今後の展望に錯乱せずにはいられない。
BABYMETALの動画は世界中の人々が視聴している。彼女たちはもうすでに世界を相手にしているように思う。『メギツネ』のMVの動画のコメントは英語ばかり。その活躍は日本に留まらず、漆黒と紅を抱えながら島国から飛び立ってもらいたい。
そして終演後、耐えきれずにロビーで顔をはめてしまった。会場スタッフに携帯を渡し、YUIMETALと一緒に撮ってもらった。その写真を眺めながらニヤニヤ歩く渋谷の街は、景色が少し違って見えた気がした。そして心の中で呟いた。
YUIMETALとMOAMETAL、この世に生まれてきてくれてありがとう!と。

大規模なステージ演出により、大人がつくっているアイドル感がますます増したように思えるだろうか?
だけど、それらの演出と同じくらいSU-METALの歌唱力もYUIMETALとMOAMETALのパフォーマンスも、攻撃力が増していた。むしろ、大人と子どもが手を合わせてしまったように思う。
子どもの無邪気な強さを武器に、大人が1999年から現在までを壮大な物語にして演出する。前回までと比べて物語性が生まれ、その物語がやがて独り立ちしていくような終わり方は決して「はー、これで満足」と完結させない。
今すぐにでも続きが見たい。その欲求を今まで以上に掻き立ててくれるものだった。

BABYMETAL『LEGEND "1999" YUIMETAL & MOAMETAL 聖誕祭』2013.6.30 at NHKホール
《セットリスト》
01:BABYMETAL DEATH
02:いいね!
03:君とアニメが見たい〜Answer for Animation With You
04:ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
05:ちょこっとLOVE -BIG TIME CHANGES ver.-
06:LOVEマシーン -FROM HELL WITH LOVE ver.-
07:おねだり大作戦
08:新曲(『NO RAIN, NO RAINBOW』
09:Catch me if you can
10:ド・キ・ド・キ☆モーニング
11:メギツネ
12:イジメ、ダメ、ゼッタイ
<アンコール>
13:紅月-アカツキ-
14:ヘドバンギャー!!

1 件のコメント:

  1. たけうちんぐさんは、BABYMETALのライブと同じ位熱いですね!w ライブを魅た直後の興奮と感動で、舞い上がってる感じが良く伝わって来ましたw

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