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2013年5月17日金曜日

子どもの恐ろしさと、未知なる脅威。 - BABYMETAL『DEATH MATCH TOUR2013 - 五月革命 - BATTLE2』2013.5.17 at Zepp Diversity Tokyo

(BABYMETALオフィシャルTwitterより)


前回のライブ後、そのチケットを譲ってくれた友人が「僕は、BABYMETALが最後なんじゃないか、という気がしてならない」とメールをくれた。

どういう意味なのだろうか。アイドル界を仕事でも趣味でもずっと見てきたその人の言葉は意味深だった。いわゆるアイドルブームというものの”最後”なのだろうか。はたまた、彼がアイドルにハマることが”最後”なのか。
妙に頷くところがあった。初めて観たライブで”最後”の演出を見せられ、「いつ終わるか分からない」という意味でも”最後”は色濃く感じられる。次のライブがその”最後”かも知れない。「今、観ておかないといけない」という気持ちを促すためにバンドのライブ映像をアップロードする自分にとって、6月の『LEGEND"1999" YUIMETAL&MOAMETAL聖誕祭』のチケットを確保するのは必然に思えた。オフィシャルHPの先行受付が始まったら即申し込み、その後に今回の『五月革命』のライブがアナウンスされた。生理現象のように当然のごとく即申し込んだ。運がよければ2ヶ月連続でライブが観れるという歓びに触れた。正確に言うと、6月までBABYMETALは続くんだという安心感に浸った。

バンドを撮影することでスタッフとしてライブに足を運ぶことや、ゲストとして入れてもらうことが多くなった。でも、そこに違和感を覚えていた。関係者であることで何かをすり減らしている気がしていた。二階席でイスに座って遠くのステージを眺めるのは、その昔ナンバーガールのライブを最前列で観ていた頃の気持ちとは全然違う。あの頃の臨場感を味わいたいし、その衝動が今確実にある。2009年から専属で撮影しているバンド・神聖かまってちゃんの『ロックンロールは鳴り止まないっ』の歌詞にある「あの時の衝動を僕に いつまでもいつまでも くれよ」をBABYMETALに求めてしまっている。

『Catch me if you can』の衝動を部屋でも味わいたいがために、『イジメ、ダメ、ゼッタイ』のシングルCDを手に入れた。もちろん『ヘドバンギャー!!』も購入し、まだ音源が全然ないことに驚く。そんな矢先にニューシングル『メギツネ』の発売が告知され、BABYMETALが公式でアップロードしたオウムがヘドバンする動画(現在は削除)でイントロだけ聴いても、鼓動が高まった。和を取り入れていることに「狙ってる」感は否めなかったが、6月の発売にその全貌を知るのが楽しみでしょうがない。

3月、お世話になっている映画のプロデューサーの方から「ある上映イベントで空いた枠があるので、何かしら映像作品を上映できないか?」と話をもらい、せっかくなら新しいものを作ろうと今までに撮影したライブ映像を再編集し、ライブドキュメンタリー映画として制作して4月にミニシアターで上映させてもらった。
制作中は空いた時間にINNI VISION制作のBABYMETALの映像を観て、何度も士気を高めた。作品として完成させる以前に、そのミュージシャンを”伝える”という意味でこの上ない奮起剤だった。その他、3月と4月はうみのてというバンドのライブDVDの制作や、知人の関係で依頼されたアイドルグループ・Negiccoのミュージックビデオのメイキング映像など、撮影する時も編集する時も、脳裏にBABYMETALの映像が過ってしまった。
あの映像に近づきたい。このミュージシャンを伝えたい。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』で全速力で走るYUIMETALとMOAMETALの映像が、まさか仕事にも影響するなんて思ってもみなかった。

そして5月の今日。
凄すぎて溜息しか出ない。言葉にできない。今日観た光景は海外に届けばとんでもないことになるはず。現在、3人の残像を何度も脳内再生している。そこで聴こえてくるサウンドは決して軽くはない。軽音楽部があるならば、重音楽部だってあるんだろう。『けいおん!』じゃなくて、『じゅうおん!』ってやつか。

メタルとアイドルが融合した女の子3人組グループ・ BABYMETALのZepp Divercity Tokyoでのワンマンライブ。わずか45分間の革命。衝撃。戦争。と、誇張ではあるが誇張と呼ばれると歯向かってしまう、衝動的な感覚を味わう。生のメタルバンドと3人の少女たちのせいで。
熱狂の中、風を感じて涼しいなと思ったら、後ろにいた女の子がヘドバンしていた。振り乱される髪が3秒ごとに僕の額にまでファサーッと到達。自分の髪型の一部みたいになってた。何かを崇めるときに「神」と形容することに抵抗を覚えるが、この場では通用する。『BABYMETAL DEATH』 での幕開けは神々のようにSU-METALとYUIMETALとMOAMETALがステージに降臨する。オーディエンスは何度もひれ伏すようにヘドバンし、その一部が僕の髪に影響した。いやー髪の毛が増えて嬉しいっす!

暴動の客席。重音の演奏。光撃の照明の中、「YUIMETAL DEATH!」という一筋の光。この一種の清涼剤は、直訳するとトキメキだろうか。YUIちゃん、一体どうするつもりだ。BABYMETALの "BABY"の部分を大きく司るかのごとく、童顔で幼い。それが「METAL」との振り幅を体現しているようで、このグループに必要不可欠な存在に思える。簡単にいうとギャップ萌えってやつかも知れない。ロン毛でマッチョで巨大な図体の男がやっていることに、なんの新しさも感じない。だからYUIMETALの外見とそれに甘んじないキレキレのパフォーマンスは、BABYMETALの”新しさ”が全部詰まっている。カルチャーの最前線はYUIMETALの幼さにあると確信した。
もちろん、後ろめたさはある。自分の年齢を半分に叩き割った年頃の女の子に惹かれるなんて、一昔前の自分からしてみたら完全に事案が発生している。とはいえ、その気持ちに偽りはない。《ほっぺたがふっくらしてかわいい》この事実は拭えない。実際、よく見るとほっぺたが揺れている。メタルサウンドでほっぺたが揺れる風景なんて、人類の歴史が始まって以来初めてだろう。
間髪入れずに『いいね!』のシンセが鳴り響き、レーザービームが四方八方に広がる。言葉を失くすくらいの迫力に、もうね、「いいね!」どころか、「よすぎるね!」。シェアさせてください!いい話だと思ったらシェア!思ったからシェア!もはや会場は「ズッキューンと現実逃避行~♪」と歌詞の通りの展開になり、現実を完全に忘れ去る。ダイブとモッシュの嵐の中で、ふと我に返る。今、本当に”アイドル”のライブを観に来ているのだろうか?

ステージにバイオリン奏者が登場し、CDに未収録の楽曲が演奏される。今回はギターの神、ベースの神、ドラムの神が降臨し、生バンド演奏がついている。前回観たエアーバンドのライブとはサウンドの迫力が一味も二味も違う。いや、ここはメンバーの人数にちなんで「三味違う」とまで言っておこうか。どうやらこの曲はショパンの『革命』のメタルアレンジらしく、哀しげなバイオリンの高音が逆に気分を高まらせ、デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンなどのギターで知られる大村孝佳さんの超絶神プレイがもう、もう、もう。そして豪華な神演奏陣の前に、再び現れるYUIMETALとMOAMETAL。衣装が変わってる。その通り、『革命』はなんとお着替えタイムのナンバーでもあったのだ!

YUI&MOAMETALで『おねだり大作戦』。骨パーカー姿でフードを被ってラップメタルをぶちかます13歳少女2人。このとんでもない発明は早いこと世界に認められて下さい。「私パパのお嫁さんになるんだ」を口実に「買って!買って!買って!買って!」とおねだり。いや~父さん困っちゃうな~(*^-^*)って気持ち悪い笑顔を浮かべてしまう。
その次はSU-METALのソロ曲『紅月-アカツキ-』。バラードながら胸の鼓動を高ぶらせる激しい演奏が印象的。それにしても歌が透き通るように耳に通過し、激しさと哀愁のバランスがちょうどいい。SU-METALが抑揚をつけて、感情を表現しているように思えた。正直、前回は3人じゃなくてSU-METALだけのパフォーマンスに物足りなさを感じていたが、今回は彼女の堂々とした立ち振る舞いに痺れた。音は激しいのに歌は穏やかとしている。その歌声は決して音に頼らず、聴かせることに徹している。この良い意味のアンバランス感が心地いい。もうね、今から辞書に新しく登録します。「かっこいい」って打ったら「BABYMETAL」って出るようにします。あっ、「かわいい」はすでに登録済みです。

「かわいい」をなんで登録済みかって?それについては今日の『Catch me if you can』をご参照下さい。生バンドのバスドラの地鳴り。ギター同士が絡み合った悲鳴。YUIMETALがくるっと回転する。「ぐるぐるかくれんぼ」のところでくるっと回転するんです。その軽やかさは身長140cm付近だからこそまた華麗なのでしょう。
やはりこの曲は圧倒される。アイデアからコンセプトまで、音のかっこよさから歌のかわいさまで、何から何まで両極端のバランス感覚で成り立っている。この光景を今日のたった2000人くらいで味わっていいのだろうか。もったいない。この何倍、いや何十倍、いやもっとだ。何千倍の人が味わうべきではないか?

前回のライブ後、『Catch me if you can』のパフォーマンスがどうしても観たくてインターネットの隅から隅まで検索したが、映像は見当たらず。そのおかげで渇望感を養い、ライブでそれを発散した。MOAMETALが「とっておきの場所を発見♪」ってSU-METALの足元をくぐり抜けて静止する。YUIMETALと「やだドキドキ止まんなーい♪」って抱き合う。「もういいよー♪」って前屈みになって客席に声を掛ける。この一連の動きにかわいさを十二分に感じ取った。これを何万の人が今すぐにでも体験するべきだ。それは、かくれんぼ会場の規模が大きくなればなるほど「もういいかい」「もういいよ」の掛け声が大きくなり、盛大な子ども遊びになるとシュールで面白いと確信したからだ。

BABYMETALのライブは終末的ストーリー仕立ての構成なのが魅力だ。巨大スクリーンで紙芝居ムービーの物語を映し出す。メタルの方舟"フライングV"に乗って3人はメタルマスター兼エジプトの王・クレオパトラに会ったという。

「ほんとのメタルを手に入れるには、祈りが必要だ。土下座ヘドバン。それは、己に課せられた最後の使命……」

なんじゃそら。と思うが、その後は『ヘドバンギャー!!』で文字通りYUI&MOAMETALが土下座。で、ヘドバン。謝ることなんて何一つない。いやむしろ、こっちが謝るべきだ。と、ステージと客席同士が土下座ヘドバンで対抗し、社会人が頭を下げ合うような景色が広がっている。
歌詞通り、「伝説の黒髪を華麗に乱す」。間奏でYUI&MOAMETALが巨大なCO2バズーカを持ち、客席にめがけてブォフォオーーーとぶちまける。だからといって、このライブが煙に巻かれることはない。誤魔化しの効かない3人の勇姿は、紛れもない真実でしかない。その証拠に、YUI&MOAがツインテールの髪を両手で掴み、「ギャーーー!!」という叫び声をバックに勇ましい表情になるところが素晴らしいのです。
こんな夜に『ウ・キ・ウ・キミッドナイト』なんてやられたらウキウキだよ、って思っていた矢先に夢が叶う。「マジ」の声が素敵に轟き、「これからが、」「クライマックス」という囁きに、総勢2000人のオーディエンスが叫び声で被せてくる。「クライマックスー!」いやいや、誰もほんとはクライマックスなんて求めてないくせに。

最後は『イジメ、ダメ、ゼッタイ』 。イントロで「なぜ、人は傷つけ合うの?誰のために、傷つけ合うの?」という切ないナレーションから入る。「ウォール・オブ・デス。ホントの勇気見せてくれたら、ホンモノのメタル教えてあげるよ」と囁かれ、SU-METALが目の前で両手をクロスするとメッタメタメタルが爆音で鳴り響く。このフレーズはかの有名な『ロマンチックあげるよ』の歌詞のオマージュだが、そこにロマンチックはない。少女2人がステージの端から端へ全速力で駆け走り、2度クロスし、所定の位置に立つだけだ。その瞬間、ホントの勇気しか見えなかった。"ウォール・オブ・デス"の単語すら知らなかった自分にとって、え、なんて?壁?死?くらいの反応だった。このライブでもその正体を知ることはなく、少女2人の全力疾走を観客はただ拳を上げて眺めるだけだった。

BABYMETALのライブは相変わらずMCが一切ない。 最後に「We are!」「BABYMETAL!」のコール&レスポンスと去り際に「See you!」の一言のみ。これが潔くてかっこいいのだ。
ワンマンライブなのに、最初から最後までたったの45分間。瞬殺とはまさにこのことか。本編終了後に次回予告の紙芝居ムービーが上映される。 そこでメタルの王・クレオパトラは言う。「メタルはもう死んでいる」。マジかよ。どうすんだよ。そして神のお告げによりYUIMETALは経典を託される。次回ライブのタイトルは『炸裂!YUIMETALのホット百裂拳』。直訳すると YUIMETALがセットリスト(経典)を考えたってこと。こんなの、観ないわけにはいかないじゃん。でも僕、明日観れないじゃん。と、チケットを手に入れたのは本日の公演だけだったことを呪う。明日、明後日、明々後日も観に行きたい。これがライブ後の率直な感想だ。
今回は後々知ったが、SU-METALが考えたセットリストらしい。大阪の公演含めて3会場で、それぞれSU-、YUI、MOAによる経典だあると後々知らされ、それぞれの会場限定のCDが後で家に届くということで楽しみがまだ残っている。

おねだり。かくれんぼ。おいかけっこ。
子どもの身分を存分に発揮し、大人たちを挑発する。BABYMETALのライブパフォーマンスは子どもの恐ろしさと未知の脅威を見事に体現している。生メタルバンドの演奏との相性は抜群で、その迫力に呼吸の仕方を忘れた。
この感動を大切に、一滴も零さずに抱きしめて持って帰りたい。でも、一抹の不安がある。彼女たちは成長期だ。このままスクスクと育っていくと、あの凹凸凹のシンメトリーの景観は変化するかも知れない。成長は望ましいことなのだが、そこに寂しさを感じる時が来るのだろうか。今のBABYMETALの景色も、いつかは変わってしまうのだろう。 バンド以上にアイドルは、幼い女の子たちは、"今しか観れない"のかも知れない。
大人になると色々と変わってしまう。おねだりも、かくれんぼも、おいかけっこも、いつかは無理な感じになってしまうのだろう。時の経過が少し寂しいのは、お父さんの心情なんだろうか。「結婚するならやっぱり\パパー!/」と無邪気に歌うYUI&MOA。お父さんを騙し続けてもいいから、いつまでも娘でいてください。 身勝手ながら、そんな感傷を胸に抱いたことをここに白状したい。
今日のライブがあまりにも素晴らしかっただけに、BABYMETALは"今"が尊いものであると気づかせてくれる。
とにかく、YUIMETALがほんとかわいすぎる!もう後戻りできないかも知れない……。

2月のZepp Tokyoはただ目の前で起きている現象を眺めるだけだったが、今回はようやくその現象に参加できた気がした。
客席の中で揉まれ、髪の毛が降りかかり、他人と髪と汗を共有することで10代の頃の衝動を蘇らせた。
そこに"アイドル"というワードが見出せなかった。これはアイドルであることを否定しているわけではなく、その言葉が熱狂の渦で忘却の彼方に飛んでいた。ここでは棒状の光る物をかざす人が少ないせいか、その代わりに誰かの足が頭に降りかかるせいか、あの頃のライブハウスを思い出す。29歳から17歳に一気に若返った気がする。いわゆる"モッシュッシュ・ピット"ではアイドルオタクもメタラーもロックキッズも見境なく笑顔になり、同じBABYMETALが好きなのに趣味も趣向もバラバラに見える人々を一つにしていた。
興奮の最中で辺りを見回すと全員が笑顔で、それを見る自分も笑顔で、どうやらこの場に完全に馴染んでしまったようです。

BABY METAL『DEATH MATCH TOUR2013 - 五月革命 - BATTLE2』2013.5.17 at Zepp Diversity Tokyo
《セットリスト》
01BABYMETAL DEATH
02
いいね!
☆:革命のエチュード(ショパン:ヴァイオリン演奏)
03:おねだり大作戦
04:紅月-アカツキ-
05:Catch me if you can
06:ヘドバンギャー!!
07:ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
08:イジメ、ダメ、ゼッタイ

1 件のコメント:

  1. ホント仰るとおりだと思います。

    儚い今の一瞬を我々ファンは見逃さないようにしなければ、と思いますね。

    彼女達の世界観からなのか、楽しさと共に強烈な切なさがライブに同居してるような気がします。

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